岩波少年文庫

161黒ねこの王子カーボネル

仕立て屋の母親とふたりでくらす10歳の女の子ロージーは、夏休みの始まった日、不思議なおばあさんから古ぼけたほうきと黒ねこを買う。そのほうきに触れていると、黒ねこカーボネルの声が聞こえてきた。自分はねこの王子で、悪い魔法にとらわれているのだと…

159ふくろ小路一番地

158マルコヴァルドさんの四季

ワーキングプアの主人公が、貧困から頻繁に軽犯罪を重ねる話、って読む気が失せるまとめかただなあ、我ながら。 「自然な暮らし」を手に入れるために悪戦苦闘するマルコヴァルドさんを見ていて、アメリカでは、貧困層の方が太っているという俗説を思い出しま…

156・157ふたごの兄弟の物語上・下

バイヌーの靴屋に、そっくりなふたごの兄弟ジャコモとラウレンゾーが生まれます。やがて両親が亡くなり、ふたり一緒に働ける職を探しますが、見つかりません。そこでふたりは職探しの旅に出ますが、分かれ道に建っていた小屋の主人に諭されて、1年後に再会す…

040さいごの戦い

読み始めてしばらくしてから、私がこのファンタジーの金字塔を敬遠していた最大の理由を思い出しました。「はるかな国の兄弟」の時も思ったんですが、主人公たちが、ゆきて帰らない物語というのは、置いてけぼりになった感が強くて、読後とても寂しくなりま…

039魔術師のおい

今までは、ナルニアがキリスト教をベースにしてあると言われても、ピンと来ていませんでしたが、この巻ではそれを強く意識させられました。アスランのものいう獣の選出方法は、まさに「ノアの箱船」です。ナルニアの開闢シーンは荘厳で独特な雰囲気があって…

馬と少年

戦争、大航海、地底探検ときて、今回はアラビアンナイトの世界です。冒険ファンタジーの舞台の定番を網羅しつつ、シリーズとして読者をあきさせない著者のエンターテナーぶりに脱帽です。キリスト教の教理に支えられた真面目な物語という先入観は、いったい…

銀のいす

ジルという女の子の造形がとても親しみが持てます。意地っ張りなところや、ちょっとずるいところなどがすごく等身大。ユースチスと性別を超えた友情を育んでいく過程が、この巻の見所のひとつだと思います。 アスランに与えられた課題のことごとくを失敗しな…

朝びらき丸、東の海へ

中盤過ぎるまで、アスラン出張り過ぎじゃないんか? とか、航海もののイベントを着々とこなしてるなーとか、ややナナメに見ていたのですが、ルーシィが海の少女と邂逅するシーンで鳥肌が立ちました。 凪いだ海を疾走する船から、鏡のような海を隔てて瞳を見…

035カスピアン王子のつのぶえ

てーんきてんくろうっ♪((c)パンツぱんくろうの節で) しかし、今回のネーミング大賞は彼ではなくて、オチ・カこと「お小さい方」トランプキンです。トオリヌケ・キ((c)石井桃子@くまのプーさん)みたいなものか。見たものじゃないと信じない超現実主義者…

034ライオンと魔女

「巨人ごろごろ八郎太」 瀬田"馳夫"貞二先生のネーミングセンスが炸裂した箇所で、冗談でなく「ブッ!」と噴き出してしまいました。外出中だったのに…油断した。どうも記憶中枢を刺激されると思ったら、あれだ、「プリごろ太(c)のだめ」に語感が似てませんか…

046ガンバとカワウソの冒険

シジンの恋人ナギサを探しに「四の島」に渡ったガンバと十一匹の仲間たちは、ナギサと共にいたカワウソの生き残りの家族の別天地を求め、「豊かな流れ」を目指す。「四の島」は四国のこと、「豊かな流れ」は四万十川をイメージしています。ちなみに、ガンバ…

076空とぶベッドと魔法のほうき

むかし青い鳥文庫で読みかけて挫折し、また小人たちシリーズも挫折したこともあって、同作者の本作はいったんは敬遠したのですが、今回はすんなり読めました。たぶん、プライスさんの魅力が分かるようになったからだと思います。この人、普段はイギリス中産…

最新ナンバー155に追いついた!

2005年3月に始めた岩波少年文庫新版を番号順に読もうというマイ企画ですが、やっと現在最新刊の155「オタバリの少年探偵たち」に追いつきました。途中で飛ばした作品が何作かあるので、読破! とは言えないのですが、とりあえずめでたい。 飛ばしてしまった…

155オタバリの少年探偵たち

「野獣死すべし」を書いたイギリスのミステリー作家の児童文学ということですが、私はこの著名なタイトルを読んだことがないので、勝手にハードボイルドでバイオレンスな作風の人だと思い込んでいたので意外でした。…もしかして大藪春彦と間違えてる? さて…

154シュトッフェルの飛行船

著者は、「魔の山」(読んだことありません)を書いたトーマス・マンの娘でドイツの作家です。シュトッフェルはクリストフの愛称で、貧しいボート番の息子クリストフ少年が、アメリカで成功した叔父に生活の援助を求めて飛行船に密航するというお話です。 飛…

153美しいハンナ姫 

ポーランドの昔話をモチーフとした物語集で、お話はだいたい3パターン。他者への思いやりにいちじるしく欠ける悪人が改心する「美しいハンナ姫」「ヴォイテックの冬作物」と、己の身勝手さのなれの果てに悪人が身を滅ぼす「王女さまの手箱」「若かったわたし…

152北のはてのイービク

エスキモーの少年イービクが、初めてのセイウチ狩りで父を亡くしてから、飢えに苦しむ家族を救うため助けを呼びに行く途中で、クマを仕留める話。 う〜ん、なんというか、訳文が! 訳があんまりよくなくて、ほとんど感情移入できませんでした。グリーンラン…

151あらしのあと

オルトー一家は子沢山で、芸術家の長男ヤープ、看護師の長女ミープ、しっかり者の次女ルート(8歳)、落ちこぼれの次男ヤン、元気いっぱいの三男ピーター・ピム(6歳)、末娘のアンネ(1歳)にお父さんとお母さんの8人家族です。これに亡命ユダヤ人でほとん…

150あらしの前

オランダの子どもたちの日常を丁寧に描いていて、読む前とイメージが少し変わりました。「あらし」とはナチスドイツによるオランダ侵略を示しているので、悲惨な戦争ものかと思っていたのですが、直接的な戦火の記述はなく、ほとんどはオルトー一家の温かい…

149ぼくと<ジョージ>

「ぼく」のおなかの中には、幼い頃から<ジョージ>という男の子がいて、ぼくたちはいつも一緒だった。ジョージは、口は悪いけど記憶力がよくて、テストのときはいつも協力してくれる。ぼくたちはうまくやっていたんだ。ぼくがウィリアムと友達になるまでは…

148グリム童話集下

身もフタもない登場人物がいる一方で、ロマンティックな話もあるのがグリム童話ですが、中でも私が好きなのが「六羽の白鳥」です。人から白鳥へと変身するメタモルフォーゼの魅力もさることながら、約束を守り通す妹のけなげさや、王と妹の愛情の深さなど、…

147グリム童話集上

グリム童話の結末は、「めでたしめでたし」で終わるか、ひどい目にあって終わるかの両極端だという思い込みがあったのですが、意外ともとの木阿弥に終わる話もあって、よく知っているつもりの話も読み返すとおもしろいなあと思います。 愚か妻が次々と財産を…

146雨の動物園 私の博物誌

舟崎さんの作品はエッセイに限らず、どうもこう、なんとも言えないざらざらとした違和感を感じます。熱狂的なファンがいる一方で、苦手だという人も多い作家ですよね。私にとっては、苦手でありつつもその違和感に奇妙にひきつけられる不思議な作品群を書く…

145風の妖精たち

「風の妖精たち」「池と木」「ナニナの羊」「ジプシーの杯」「声を失ったオスマル」「雨の乙女」「農夫と土の精」 まさに、フェアリーテイルと呼ぶのがふさわしい、神秘的な美しさに満ちた掌篇集でした。 昔話のお約束として「○○してはいけない」という禁忌…

144キツネのライネケ

小学校高学年頃、「きつねのさいばん」というタイトルで読んだときには、悪いキツネが英雄になってしまう結末に腹が立って、理不尽ですごく読後感が悪かった記憶があるのですが、今回はそんなことはありませんでした。ライオン王も狼のイーゼグリムも熊のブ…

143ぼく、デイヴィッド

物心ついたときから、山の中で父親とふたりきりで暮らしていた10歳の少年デイヴィッドは、父の急死により誰ひとり知り合いのいない世間に取り残される。浮世離れした少年に、デイヴィッドを拾ったホリー夫妻はとまどうが、やがて自由で純真なデイヴィッド…

142まぼろしの白馬

両親を亡くした13歳の少女マリアが引き取られた屋敷には、古い言い伝えがありました。昔、敵の家から嫁いできた月姫と呼ばれる女性が、代々現れ、歴史をくり返すというのです。月姫とされる女性が過去の過ちを償うとき、敵同士であるメリーウェザー家と黒い…

141飛ぶ教室

きらきらしてます。4歳で父親に捨てられた男の子、貧しくてクリスマスにうちに帰ることもできない男の子、自分の臆病が嫌でたまらないのに勇気の出せない男の子、人生のつらさをそれぞれに抱えてはいるけれども、それでも彼らのいるこの空間と時間は、本当に…

140ベーグル・チームの作戦

いつも何かに夢中になっちゃうママが、こんどはぼくの野球チームの監督になっちゃった。おまけに、コーチは兄さんだって。12歳の成人式(バーミツバ)前の忙しいときに、これ以上ぼくの生活をかき回さないで欲しいよ。 ユダヤ人というと少し特別なイメージで…