2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

24冊

ARRIVAL

画面に広がる不思議な街の風景に、言葉を失った。そして、「言葉を失う」というのは、この絵本には、ぴったりの反応かもしれないな、と思う。なぜかというと、この本は、文字なし絵本だからだ。漫画のような小さなカットのページの間に、見開きページが挟ま…

扉守

「帰去来の井戸」「天の音、地の声」「扉守」「桜絵師」「写想家」「旅の編み人」「ピアニシシモより小さな祈り」 温かな青色の表紙に手招きされるように手に取った。 飲んだら必ず故郷へ戻ってこられるという「帰去来の井戸」と、井戸がある店を守る女性を…

2001年宇宙の旅

「後世に残る作品を作ろうぜ」と言って、本当に作っちゃったキューブリックとクラークに一番驚く。 クラークのすごいところは、SFや科学知識のない人間にも読みやすく、分かりやすい言葉で、最高級のSFマインドを伝えているところ。それにしても、宇宙飛…

骸の爪

心霊探偵路線でいくのかと思ったら、今回はミステリ寄りだったためか、論理展開のこじつけっぽいところが目立ってしまっていた。 亮平少年はもう出てこないのかな。

越境する児童文学

ここのところ、いろいろなジャンルで「ゼロ年代」という言葉が使われているなあ、と思ってたら、2010年になって(20)00年代が終わったからだ、と今更気がついた。この10年間は、ちょうど集中して児童文学を追いかけていた期間なのだけど、こう、自分が過去1…

夏雪ランデブー1

帯にある「低温」一途青年と「草食系」執着霊っていうのは、すごく端的に内容を表している。登場人物がみんなダウナーなので、読んでて気がめいってきた。こういう恋愛ものって、ヒロインを好きになれないと駄目なんだけど、六花さんは、あんまり好きなタイ…

イン・ワンダーランド

輪郭線が空気に溶けたような淡いタッチの絵と、同じくストーリーラインのはっきりしない雰囲気重視の物語で、かなり消化不良。自分はメリハリのある絵や話が好きなんだな、と再確認した。

つづきはまた明日2

しみじみ、いいもの読んだなーと満足。1巻の時の感想で、紺野キタ作品でこんなに笑わされるとは、と書いた気がするんだけど、今回も「そこねちゃん」に吹いた。「おもしろトンチキ野菜」とかね。あー、つまり、リカコちゃんの存在が、この作品の欠くべから…

海街diary3陽のあたる坂道

最近、物語を読んでいると、人を多面的にみること、っていうところに目がいってしまう。「「嫌い」は「好き」よりずっと早く伝わってしまう」という鈴の台詞にズキン、ときたりね。それなら、「嫌い」にならないように、「嫌い」な部分も別の面からみて「好…

八百万

そういえば、畠中恵は、漫画の原作者だったんだな。しつこく言い続けているように、物語作りの雑さを感じないではないけれど、みもりさんの絵の可愛らしさもあって、なかなか楽しかった。

おもいで金平糖

「あまなつ屋」の「おもいで金平糖」を食べると、奇跡が起こる…という言い伝えをめぐる、4つの物語。タイムトラベルものって、ロマンチックなドラマを描くのに最高のガジェットだと思う。すっごい今どきの少女漫画ー! な絵に、気恥ずかしくなりつつも、意…

文鳥様と私

メンバーが入れ替わり、今市家の文鳥アパートも新たな局面に。新メンバーのういろうとくじらが、今までで一番ストレートにお似合いカップルじゃないのかな。今までが錯綜しすぎてたのか(笑)。

サマーウォーズ2

そっかー、侘助は、おばあちゃんの資産を黙って持ち出したのか。妄想は大はずれだった 。 映画の山場の一つ、築城シーンはコミックス版では結構アッサリだったけど、あそこは動画と勝負してもちょっと勝てないもんなー。映画では謎だった夏希先輩の内面描写…

水木しげるの遠野物語

ありそうでなかった水木しげるによる遠野物語の漫画化。これ以上のコミカライズはない。30ページの帰って来た寒戸の婆の絵がものすごい。原文では女の心境を伝える言葉はないけれど、水木しげるの絵では醜く老いた老婆が涙を流しているんだよな。しかも、着…

夏の前日1

絵は好きなんだけど、お話作りがきごちないなあ。大学生の青木君の視点で進むのかと思ったら、唐突に年上の恋人、藍沢さんの心情描写が入る。視点が混在するのが悪いわけじゃないんだけど、切り替えの仕方や順番がどうにもまずい。読者は、最初青木君の立場…

路地恋花1

子どもの頃受けた知能テストに、仲間外れを見つけなさいってのがあった。 では「本 銀細工 絵画 小説 ろうそく」の中で仲間はずれはなんでしょう? 区別の仕方にもよると思うけど、具体物がないって点で「小説」って浮いてると思う。 さらに、物語としても「…

純潔のマリア1

「もやしもん」も面白いけど、こういう起承転結のはっきりし(てそうな、今のところは)てる物語の方が、やっぱりわくわくするね。読者が主人公と一緒に、作中正義の正しさについて迷うってのが大好物なので、大天使ミカエルの言い分にも理があるという作り…

WOMBS1

『天顕祭』の著者の第2単行本。女性と男性で、読後感がかなり違うと思われる。女性でも、妊娠経験の有無でだいぶ違うかも…。最初はちょっと受け入れられなくて、5回位読み返してしまった。アルメア軍曹やサウラ中佐が、転送兵が「ドナー」だった地獄のよう…

マッドメン

『ユリイカ』特集で、何度も言及されていた代表作。これは読まなくては、と思っていたちょうどいいタイミングで、完全版が発売された。こういうのもシンクロニシティっていうのかな。諸星大二郎のストーリー漫画は、昔『暗黒神話』を読んでさっぱりわけが分…

無面目・太公望

『ユリイカ』2009年3月号の諸星大二郎特集に触発されて、未読の作品を読みたくなった。混沌というと、私は『山海経』の翼の生えた超絶可愛い生き物を連想するのだけれど、『無面目』の混沌は、天地の始まりから存在しているくせに、人間の男の姿をしている。…

漫画タワー

感想書くのさぼってたら、無駄に長くなった。でも、たたみません。

山魔の如き嗤うもの

「事件をなんとなく解決している」というフレーズが、ツボにはまって出てくるたびにくすくす笑ってしまった。どちらかというと、「なんとなく解決できてない」んじゃ…? と突っ込みながら。推理が二転三転するので、最終的に出た結論も、ほんとにホントに正し…

背の眼

「文章の巧さは七難隠す」 「難」については、ホラーサスペンス大賞選考委員が指摘しているとおり。肝心の謎解きも、ちょっと牽強付会過ぎだし。にもかかわらず、退屈せずに読みとおせたのは、読みやすい文章のせいとしか思えない。 読んでるときに思い浮かべ…

文楽につれてって!

文章があまり上手じゃなくて、読みづらかったが、文楽初心者には、歴史や勘所をかみ砕いて説明してくれていて、分かりやすかった。文楽というと、江戸時代からずーっと庶民の娯楽の王道で、今のような形が伝統として脈々と受け継がれてきたと思いがちだけど…

日本における外国昔話の受容と変容

グリムをはじめとする外国の昔話が、どういった過程を経て日本の昔話として語られるようになったのかを、ハナシを具体的に比較することで解き明かそうとした論文集。 怪談好きとしては、著者の母校に伝わる「聖心の祝日にまつわる怪談」が面白かった。著者の…

首無の如き祟るもの

探偵役がほとんど出てこない(そう、「ほとんど」…ね)んだけど、それがかえってよかったような気がする。「厭魅」が読みづらかった原因の一つに、登場人物に感情移入しにくいという点があった。この作者の文章は、非常にロジカルなので、登場人物に共感して…

桜桃の味 1997年イラン

桜桃の味 [DVD]出版社/メーカー: パイオニアLDC発売日: 2001/09/21メディア: DVD クリック: 43回この商品を含むブログ (40件) を見る 不思議な映画だった。 何気なくテレビのチャンネルを変えていて、ふと映ったのが、一人の中年男性が「2回名前を呼ぶんだ…