161黒ねこの王子カーボネル

黒ねこの王子カーボネル (岩波少年文庫 161)
 仕立て屋の母親とふたりでくらす10歳の女の子ロージーは、夏休みの始まった日、不思議なおばあさんから古ぼけたほうきと黒ねこを買う。そのほうきに触れていると、黒ねこカーボネルの声が聞こえてきた。自分はねこの王子で、悪い魔法にとらわれているのだと言う。ロージーは、カーボネルの呪いをとくために、魔女のぼうしと大釜を探そうとするが…。
 少ない手がかりから、人に尋ねたり、勘を働かせたり、ときには幸運に恵まれたりしながら、次々とアイテムを手に入れていくという、クエストものの面白さがつまっていました。
 えらそうなカーボネルの性格が楽しいです。しゃべりこそしませんが、ほうきや大釜にも心があって、それをロージーが感じ取るところがいいですね。プライドが高くて、でも子どもたちやカーボネルのためにがんばるほうきが好きだったので、ラストはちょっとさびしかったです。老後は台所の片隅で、のんびり過ごさせてあげたかったなあ。