背の眼

背の眼
 「文章の巧さは七難隠す」
 「難」については、ホラーサスペンス大賞選考委員が指摘しているとおり。肝心の謎解きも、ちょっと牽強付会過ぎだし。にもかかわらず、退屈せずに読みとおせたのは、読みやすい文章のせいとしか思えない。
読んでるときに思い浮かべていたのは、先行作品として挙げられている小説よりも、小野不由美の「ゴーストハント」だった。心霊現象の実証を追い求めている主人公が、「この世に不思議な事など何も無い」と言いきってしまう京極堂とは、メンタルの部分で大分違ってみえたからかな。真備の方が共感しやすい。
ピクニックのシーンは、最後まで読んでからもう一回読み返すと、ますます怖い。あんなところでごはん食べようと思いつく真備は、ちょっと鈍感すぎるだろ。
探偵=真備、ワトソン=道尾、サイコメトラー=凛ちゃん、霊視能力者=亮平少年というチームが、キャラクターバランス的にとても好きなので、続刊の「骸の爪」も楽しみだ。