路地恋花1

路地恋花 1 (アフタヌーンKC)
 子どもの頃受けた知能テストに、仲間外れを見つけなさいってのがあった。
 では「本 銀細工 絵画 小説 ろうそく」の中で仲間はずれはなんでしょう? 区別の仕方にもよると思うけど、具体物がないって点で「小説」って浮いてると思う。
 さらに、物語としても「夏菊」は浮いている。なぜなら、「モノづくりをしない人(あるいはあきらめてしまった人)」が「モノづくりをする人」の情熱に惹かれるというこの連作において、「モノづくりをする人」の住まいである路地の住人であるはずの井沢さんは、作中では「モノづくり」をしない。「モノ(お菓子)づくり」をするのは、訪問者であるナオミちゃんの方だ。なーんか、気になる、と思っていたら、やっぱりその後があるらしい。
 気になるのは「夏菊」だけど、一番気に入ったのは「綴」。製本したいだけの人生がおくれたらいいなーと思う。