読了本2010・その他

山田野理夫東北怪談全集

山田野理夫さんの文章って独特だなあ。言ってはなんですが、へたウマな感じ。ときどき、流れに脈絡がなくなるところとか、大事なところをあっさり流しちうそっけなさとかが、あとからじわっと怖さを運んできます。

杉村顕道怪談全集彩雨亭鬼談

まず、娘さんによる解説を読んで、作者が大好きになりました。自分の奥さんのことを「美しい婆」だから「ビバ」と呼んで、毎日キスする明治生まれって、なにその萌爺! しかも、医者の家に生まれた剣道五段柔道四段の明治男の書いたもの、と思って身構えて本…

黒い遭難碑

「山岳怪談実話シリーズ」と銘打ってはあるものの、かぎりなく創作に近い筆致で描かれている。この「これは創作っぽい」「実話っぽい」という違いがなんなのかをうまく言葉で表せるだけの思考力と文章力があればなあ。 創作っぽいと感じるのは、ひとつにはオ…

実話怪談集ひとり百物語 夢の中の少女

前回「家族」というテーマでゆるやかにまとまっていたので、今回はちょっとばらばらかな、と思って読み進めていたんですが、だんだん背筋がぞくぞくしてきました。実話怪談集には、短い話が累積することで、「怖さ」も積み重なっていくという側面があるので…

九十九怪談 第三夜

安定したクオリティ。ここまでくると、もう職人芸ですね。妖怪っぽい話がいくつかあって、でもそれが「竹の精である」とか「キツネに騙されたのである」とかはっきり「名付け」をしないところに妙味があります。

怪談実話コンテスト傑作選 黒四

おんな作家読本 明治生まれ編

科学と神秘のあいだ

ぼくの宝物絵本

澁澤龍彦ドラコニア・ワールド

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苔とあるく

倉敷の古本屋「蟲文庫」店主さんによる、コケ観察のススメ。著者の「好き」な気持ちがびしばし伝わってくる誠実で、丁寧なコケ観察のやり方の説明に、浅生ハルミンさんのイラストときれいなコケの写真が満載されており、簡潔にして用を得た一冊でした。読み…

お好みの本、入荷しました

「つづく」〜!? 「西の桜庭一樹」(東は三浦しをん)は結婚したかあ、と感心したんですが、旦那さんになった人が、「おもしろい話して」と言われて、「ペットお断りコンビニ」みたいな抒情とユーモアのあるショートショート(のような、コントのような)を…

ゲゲゲの女房

水木しげるの伴侶の半生を本にするという企画を思いついた人はえらいなあ。ライターさんもうまくて、すいすい読めます。始まりがすごくうまいです。布枝さんの故郷安芸を紹介する流れで、安芸と境港の交流の歴史を紐解き、布枝さんと水木しげるの出会いにつ…

お父ちゃんと私

正直文章は、それほど上手ではないのですが、父親を慕っている様子がじんわり伝わってきてあたたかい気持ちになります。水木しげるも子どものように娘さんに甘えているようだし。 「ゲゲゲの娘レレレの娘らららの娘」で私が気に入った「目目連」の話が、詳し…

怪の壺

「影の病」など有名どころも収められていますが、初見の話も多く、まこと、日本は怪談・奇談の宝庫であることだなあ、と嬉しくなってしまいます。 膨大な資料から、話を掘り起こしていくセンスもさることながら、文章がとても読みやすくて驚きました。再話物っ…

「怖い」が好き!

少し話題がとっちらかった感じがするのは、「怖い」と「心霊」と「神霊」がごたまぜに説明されてるからかな。

怖い話はなぜモテる

「幽Vol.12」稲川淳二特集を読んで。題名から敬遠してたんですが、「怖い」と入っていたら、ちゃんとチェックすべきだな、と反省しました。おふたりとも、作風とは全然違って、いいひとだ〜。ホラーやお笑いやってる人って、いい人が多い気がします。 自分の周囲…

完全なる証明

副題は「100万ドルを拒否した天才数学者」。 NHK番組「100年の難問はなぜ解けたのか 〜天才数学者 失踪の謎〜」を見て以来、気になっていた「事件」でした。数学の本なんて読めるかどうか不安でしたが、心配していたとっつきの悪さはまったくなく、ぐいぐ…

ぼくたちが聖書について知りたかったこと

かなり高度な内容なので、ところどころ話題についていけないことも…。そこは池澤夏樹さんなので、ついていけなくても読めるようには書いてあります。 聖書の話のはずなのに、「ユダヤ人」についてかなり重点が置かれていました。つまり、聖書はユダヤ人的な…

サイのクララの大旅行

18世紀にヨーロッパを見世物として興行して回ったメスのサイ「クララ」の生涯を描いた歴史ノンフィクション。ヨーロッパ中を20年近く移動して生き続けたということが何よりの驚きです。しかも、サイ。おとなしいかもしれないけど、重いしすごい食べそう…

ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘

日本漫画界の巨人である水木しげる、手塚治虫、赤塚不二夫の娘たち、水木悦子、手塚るみ子、赤塚りえ子よる鼎談。偉大な父の娘であることの葛藤や、父親の女性観、作品に登場する自分たちのことなど、娘の立場でしか語れない話題が盛りだくさんで、とても興…

一日江戸人

江戸っていったら、まずはこの人からですよね。

ビヨンド・エジソン

最相葉月のノンフィクションの切り口は、いつだって独特だが、どれも「そうそう、そういうことって知りたかったの」とハッと気づかされるような親しみやすさがある。本作は、現代科学の最前線を担う科学者に、「なぜ科学者になったのか」を影響を受けた一冊…

越境する児童文学

ここのところ、いろいろなジャンルで「ゼロ年代」という言葉が使われているなあ、と思ってたら、2010年になって(20)00年代が終わったからだ、と今更気がついた。この10年間は、ちょうど集中して児童文学を追いかけていた期間なのだけど、こう、自分が過去1…

文楽につれてって!

文章があまり上手じゃなくて、読みづらかったが、文楽初心者には、歴史や勘所をかみ砕いて説明してくれていて、分かりやすかった。文楽というと、江戸時代からずーっと庶民の娯楽の王道で、今のような形が伝統として脈々と受け継がれてきたと思いがちだけど…

日本における外国昔話の受容と変容

グリムをはじめとする外国の昔話が、どういった過程を経て日本の昔話として語られるようになったのかを、ハナシを具体的に比較することで解き明かそうとした論文集。 怪談好きとしては、著者の母校に伝わる「聖心の祝日にまつわる怪談」が面白かった。著者の…

ユリイカ2009年3月号 特集:諸星大二郎

ユリイカ2009年11月号 特集:若冲

BRUTUS2010年1月1・15日号 特集:本が人をつくる。

「押井守 細井守 映画の中の本棚 初公開!!『サマーウォーズ』の本棚のある風景。」 図書館でブラウジングしていて、偶然記事を見つけた時には、企画した人を伏し拝みたくなりました。やっぱり、私みたいな人がたくさんいたんだなあ、と嬉しくなってしまいま…

東京おぼえ帳

『蘆江怪談集』の解説を読んだらむらむらと読みたくなったので、図書館で借りてきました。戦前には新聞に花柳演芸欄なんて記事があったことからして新鮮です。今でいう、三面記事、ゴシップ記事に当たるのかな。文章があまりに恬淡としていて品がいいので、…