黒い遭難碑

山の霊異記 黒い遭難碑 (幽ブックス)
 「山岳怪談実話シリーズ」と銘打ってはあるものの、かぎりなく創作に近い筆致で描かれている。この「これは創作っぽい」「実話っぽい」という違いがなんなのかをうまく言葉で表せるだけの思考力と文章力があればなあ。
 創作っぽいと感じるのは、ひとつにはオチがきれいに落ちているというのが挙げられると思います。「ハナシ」としての完成度が高いんですね。その中でも「首なし地蔵」は白眉。幻想小説のアンソロジーなどにまぎれていてもおかしくないです。