読了本2011・文芸書

19冊(2011.10〜2011.12)

どの本も読後感は満足してるんですが、半年もたつと、印象に残っているのとあらすじもよく思い出せないのとに分かれちゃいますね。読後すぐの感想大事…! 『偉大なるしゅららぼん』、『舟を編む』(本屋大賞おめでとうございます)、『RDG4 世界遺産の少…

みちのく怪談名作選VOL.1

文豪怪談傑作選・明治編 夢魔は蠢く

真夜中のパン屋さん

「パン屋さん」という言葉は、あったかくてやわらかくて、いいにおいのする、ほんわりとした幸せなイメージを持っている。ただ、その上に「真夜中の」とついているだけあって、しょっぱなから育児放棄に、校内いじめ、のぞき見趣味の変態にストーカー等々、…

古道具屋灰塵堂

幽霊が嫌いで、しかも見えることを隠している太一郎は、心配した父親に灰塵堂という古道具屋に修行に出される。そこは、普通の道具屋なら引き取らない、いわくつきのものばかり扱っていて…。 著者の作品を読むのは初めてだけど、どうして今まで見過ごしてい…

シートン〈探偵〉動物記

カランポーの悪魔 銀の星(シルバー・スポット) 森の旗 ウシ小屋密室とナマズのジョー ロイヤル・アナロスタン失踪事件 三人の秘書官 熊王ジャック 「シャーロック・ホームズ」「アルセーヌ・ルパン」「少年探偵団」「シートン動物記」「ファーブル昆虫記」は…

折れた竜骨

ミステリーって、現実世界のルールをどこまで適応するかが著者のさじ加減一つで決まってしまうように感じられるから、肝心の謎解き部分ですっきりしないことが多いように思う。著者と読者のフェアな知恵比べじゃなくて、お釈迦様の手のひらの上って気がすご…

蕃東国年代記

雨竜見物 霧と煙 海林にて 有明中将 気獣と宝玉 日本ファンタジーノベル大賞受賞者らしい、架空王国もの。のんびりした雅な風習を描いた「雨竜見物」ですっとに引き込まれた。著者が、筆の向くまま自由に蕃東国に遊んでいる風なのがいい。

英国パラソル奇譚 アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う

表紙と邦題の勝利。あらすじやあおり文句から期待したものとは違いましたが、ハーレクインばりのべたべたのロマンスが秀逸でぐいぐい読んでしまいました。ツンデレ×ツンデレいいですね! アレクシアと言い合いをした直後のマコン卿が、大真面目に「あんなに…

備前風呂屋怪談 湯女の櫛

最近は作風変わったかと思っていたけれど、「ぼっけえ、きょうてえ」みたいな作品をまた書いてくれてとても嬉しい。岩井志麻子女史は、えげつない暴露本からこういう上品な語りものまで芸風が広すぎてチョイスに困る。 お藤の語る妖しの物語は、残酷な生臭い…

妖しき我が家 家の怪談傑作集

心星ひとつ みおつくし料理帖

怒涛のように畳みかけてみたなあ。種市さんも芳さんも、決断を澪にゆだねるのはちょっとずるいんじゃない、と思ったけど、りうさんのいう通り、最後は澪自身が決めないと意味がないんだよね…澪の下さないといけない決断の重さにめまいがする。 でも、いつも…

猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷

ひっさびさのクリティカルヒット。 奇妙でどこか懐かしい怪異が訪れる日常は、『家守綺譚』を彷彿とさせるし、蘆野原の長筋である主人公が作法に則り「事」を治めていく様は『蟲師』のギンコのようだし、古来からひっそりと能力を伝え続けた一族とくれば『常…

四色の藍

登場人物が多いのに、それぞれの事情や心情を主軸としっかりからめて書き分けてあって、西條奈加はもう安心して読めるなあ。お唄と伊予、おくめと環が、始まりからは想像もつかない絆を結ぶラストシーンは、爽やかな余韻が残った。復讐譚なんだけど、ヒロイ…

幻想郵便局 

あの世とこの世のはざまにある郵便局という設定や、キャラクターなどは面白いのに、どうにもパンチが弱い。 姫神様が素敵だったので、もっと彼女との土地をめぐる争いに焦点を当てて派手な展開にした方が面白かったかも。 配達はお炊き上げというアイデアを…

アウルクリーク橋の出来事/豹の目

アウルクリーク橋の出来事 良心の物語 夏の一夜 死の診断 板張りの窓 豹の目 シロップの壷 壁の向こう ジョン・モートンソンの葬儀 幽霊なるもの レサカにて戦死 チカモーガの戦い 幼い放浪者 月明かりの道筆致は極めて写実的なのに、全体を眺めると幻想的に…

恋する死体 警視庁幽霊課

前作では存在だけが紹介されていた特殊捜査課の面々が登場して、シリーズものとして「はじまった」という感じ。本当に「ライト」に楽しく読めるので、文庫化されたらその都度読む方向でのんひり追いかけていきたい。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

小説としても、ビジネス書としても、キャラクター小説としても読めるところが広範な読者を獲得した理由なんだろうなと思いました。 みなみの葛藤をもっと掘り下げてくれれば…とか、試合のシーンをもっと盛り上げてほしいとか、さすがに「マネジメント」万能…

コーラル城の平穏な日常 デルフィニア戦記外伝2

どんなまずいことでも、まず上司に報告だ、シェラ!と思ってしまうサラリーマンになったんだなあ、と感慨深い(なんか違う)。 バルロの「今なんて言った?」に大爆笑。ナシアスに限らず、皆相変わらずで久々に楽しかったです。

私の大好きな探偵 仁木兄妹の事件簿

みどりの香炉 黄色い花 灰色の手袋 赤い痕 ただ一つの物語児童文学研究者の赤木かん子は「今の子には携帯電話が出てこない話は古くて読めない」みたいなことを言っていて、成る程なあと思う反面、ほんとかなとも思います。もちろん、気にしない子もいれば、…

ばんば憑き

坊主の壷 お文の影 博打眼 討債鬼 ばんば憑き 野槌の墓ひきょうなり!と叫びたくなるくらい、宮部みゆきの書くこどもやどーぶつやもののけは健気で愛らしく、こころを動かされずにはいられない。こういう素材は容易に人を惹き付けられるので、視聴率を取りた…

無花果の実のなるころに

罪かぶりの夜 蝉の赤 無花果の実のなるころに 酸っぱい遺産 果てしのない嘘 シナガワ戦争食道楽だった曾祖父の影響で森本家では代々男が台所に立つ。包丁の握れない祖母のおさんどんをするために、中学二年生の望は、父の転勤についていかずに、東京神楽坂で…

小夜しぐれ みおつくし料理帖

キッチンぶたぶた

私の家では何も起こらない

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

ゴーストハント2 人形の檻

警視庁幽霊係

不思議な羅針盤

伏 贋作・里見八犬伝

作中作の「贋作・里見八犬伝」がすごく面白かったです。全体の三分の一しかないのに、長い物語を読み終えたような充実感がありました。桜庭一樹さんの描く人物は、ちょっと変わって見えても、普通に人を愛したり、さびしがったりするから、遠い物語世界の人…