私の大好きな探偵 仁木兄妹の事件簿

みどりの香炉 黄色い花 灰色の手袋 赤い痕 ただ一つの物語

児童文学研究者の赤木かん子は「今の子には携帯電話が出てこない話は古くて読めない」みたいなことを言っていて、成る程なあと思う反面、ほんとかなとも思います。もちろん、気にしない子もいれば、古くさく感じられて読めない子もいる、というのが実際なのでしょうが…。
私はギリギリ携帯電話登場前に思春期を過ごしたので、この問題には興味があります。生まれた時から携帯電話が存在する人の感覚ってどんなんだろう。私が、電話やテレビのない時代の話を読むのと似た感じなのかな、とか。
前置きが長くなりましたが、何が言いたいかと言うと、途中で、若い傷夷軍人が登場して大変驚いた、ということです。横溝正史的世界とそんなに隔たっていないとは。戦争の影を感じさせない、都会的でスマートな雰囲気なんで昭和の後期辺りなんだと思っていました。
ピュアフル文庫は、時代を気にせず、「いい」と判断したものをどんどん取り入れていっててユニークなシリーズです。古典だけ、新作だけじゃなくて面白い話があるよ!と若い読者を手招きしているような感じが好ましい。
巻末に時代の金銭感覚や用語解説がついていて親切でした。