伏 贋作・里見八犬伝

伏 贋作・里見八犬伝
 作中作の「贋作・里見八犬伝」がすごく面白かったです。全体の三分の一しかないのに、長い物語を読み終えたような充実感がありました。桜庭一樹さんの描く人物は、ちょっと変わって見えても、普通に人を愛したり、さびしがったりするから、遠い物語世界の人じゃなくて、あったかい身近な人のような気がしてしまいます。伏姫が、銀の歯の森をかけるシーンは切なすぎる…。
 《物語》が終わった後からはじまったお話ですが、お話が終わった後の浜路と信乃の物語が読みたいです。あと、滝沢冥土に、伏の森への旅をちゃんと書いてもらって、完成した「贋作・里見八犬伝」を通して読んでみたい。