折れた竜骨

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)
 ミステリーって、現実世界のルールをどこまで適応するかが著者のさじ加減一つで決まってしまうように感じられるから、肝心の謎解き部分ですっきりしないことが多いように思う。著者と読者のフェアな知恵比べじゃなくて、お釈迦様の手のひらの上って気がすごくするんですよねー。それなら、世界ごと作ってくれた方がフェアなんじゃないの…というので、山口雅也「生ける屍の死」や松尾由美のバルーンタウンシリーズなどの、特殊設定ミステリーが大好きです。
 本作は、剣と魔法の世界が舞台で、魔法はトリックではなく本当にあることになっている、という点が潔いと思う。あの米澤穂信がファンタジーというのは驚いたけど、謎解き部分は納得がいったし、ほろ苦い結末はこの作者らしかった。
 ニコラとフレイアのその後の話がすっごく読みたいんですけど!