真夜中のパン屋さん

真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ (ポプラ文庫)
 「パン屋さん」という言葉は、あったかくてやわらかくて、いいにおいのする、ほんわりとした幸せなイメージを持っている。ただ、その上に「真夜中の」とついているだけあって、しょっぱなから育児放棄に、校内いじめ、のぞき見趣味の変態にストーカー等々、ドロドロした陰鬱な出来事が続き、ほんわりというよりどんより…。
子どもが否応なしにひどい状況に置かれているのは、最後までいたたまれなかったけど、大人達がちゃんと側にいて見守っているので、思ったより読後感は悪くなかった。まあ、その大人たちは、いびつさを抱えているんだけど、変態もストーカーも女装趣味も、自分で道を選んだという覚悟としぶとさみたいなのがあって、だから子ども達を受け入れて、一緒にいることができるんだろうなあ。