ばんば憑き

ばんば憑き     
坊主の壷 お文の影 博打眼 討債鬼 ばんば憑き 野槌の墓

ひきょうなり!と叫びたくなるくらい、宮部みゆきの書くこどもやどーぶつやもののけは健気で愛らしく、こころを動かされずにはいられない。こういう素材は容易に人を惹き付けられるので、視聴率を取りたければ子供か動物を使えと言われてるらしいけど、使えば誰もが必ずまんまと思惑に乗せられるとは限らないですよね。あざとさが見えて鼻白んでしまうことの方が多いと思います。
でも、宮部みゆきはにくいくらい描き方が上手いんだよなあ。哀しいお話なんだけど、「野槌の墓」に出てくるもののけたちの可愛さったらない。
人の心の恐ろしさを描いていますが、「結局一番怖いのは生きた人間だよね」みたいな安直な落とし方にはせずに、ちゃんと「怪談」にしてあるところに心意気を感じます。