読了本2009・文芸書
「魔法の万年筆」「猫」「ケーキ」「タクシー」「サンタクロース」
「光る石」「星良一の優雅な日常」「思い出の銀幕」「岡夫人は観察する」「由良公は運が悪い」「逃げる男」「なごりの月」
探し回ったあげく、古本で購入してから、ずいぶん長いこと積ん読状態でした。 ミギーさんの挿絵が、雰囲気ぴったりのういういしい「恋」物語でした。女の子が、びくびくしながらも、果敢に、ちょっとずつ「女」になっていく心の動きが、鎌倉の季節の移ろいと…
踊り場の花子 ブランコをこぐ足 おとうさん、したいがあるよ ふちなしのかがみ 八月の天変地異 こういう一般向けの小説集であっても、あくまで若い読者を意識している、ということがあとがきから伝わって来ます。内容は、決してジュブナイルというわけでもラ…
見返しに、厚助の歩いた関東の地図、もしくは十字環の絵図でものっけといてくれればいいのに。すぐれた才はあるけれども、人の心の機微には疎い(いわゆる「空気が読めない」)算法者二文字厚助が、旅先で遭遇する様々な問題を、算法で解決しようとするちょ…
頼れる友人ができたせいか、あんまり主人公にイラッとすることもなくなって、安心して読めました。 宗田三きょうだいvs高柳の闘いはいろいろと萌えと燃えがつまってましたね…。 泉水子の舞うシーンが好きなので、いつかふさわしい舞台で再び見られることを願…
武士道3部作の最後の一冊です。 雑誌に掲載された作品を間に挟んで、それを本編でつなげていったせいか、全体の流れがちぐはぐです。 最終巻にしては盛り上がりに欠けるなあと思いながら読んでいましたが、最後の田原のエピソードで、武士道エイティーンは香…
閉ざされた扉 ばらの少女 ダヴァンポートの話 汽車であった男 カメラの証言 沈黙の彼方から スモーキー島のハウス・パーティー エステラの受難 月影の狂想曲 あの「赤毛のアン」の作者が怪談集を書いていたことに驚きましたが、さすがに「エミリー」の作者ら…
表題作「哀蚊」は、合理的な解釈がいくらでも付けられそうですが、初夜の間をのぞき込む女の幽霊が鬼気迫っていて、怪談らしい惻惻とした怖ろしさを感じさせました。 ただ、正直、どこが「怪談」なのか首をひねる作品が多かったようにも思います。 そして、…
健二が原作やコミックスより、ややきもちわるいオタク少年に描かれていて、それがコミカルな雰囲気を出していておもしろかったです。あと、健二の立場について、原作とは決定的に違うことがあって、それが話の流れにほどよい緊張感を持たせていました。2時間…
人は、自分の詳しい分野だとついつい知ったかして細かいツッコミを入れて悦に入ってしまうモノで、そういうのはやーらしーよなーと思いつつ…え〜い、やっぱり言っちゃえ(笑)。 気になったのは2点。 レファレンスの何がおもしろいかというと、どんな相談に…
コミケなら、本当に裏社史売ってそうだ。 最初ルビが見えなくて、「せいかんしょうじかぶしきがいしゃしゃしへんさんしつ」と読んでいたので、「社に秘められた過去」は「創業者が実は宇宙人」とかだと思ってました。 現在も続く星間商事の悪習の撤廃は、物…
「務めを果たす」というたったひとつの目的に殉じて、ひたむきに命を燃やす女戦士「疾風のマリア」の生涯と、「帝国」の興亡を描いた大河ロマン。久々に胸が熱くなる小説を読みました。恋をすることも、子供を産むこともなく、ただひたすらに獲物を狩り、闘…
編者が目玉と目した「マーサの食卓」が、やはり群を抜いて光っています。マーサが「料理上手」というところでピンとはきましたが、読者の想像より筆致を抑え気味にすることによって、奇妙なリアリティが出ているところに、作者の意地の悪さが見えます。キド…
この作風に慣れたのか、今回はきちんと「幕の内弁当」的おもしろさを堪能しました。何事も起こらない日常に、不思議な出来事がふと顔を出す、という話を人に読ませるのはなかなかに難しかろうと思うのですが、それがちゃんとできる作家さんなんだなあ、と改…
まず、表紙がいい。装画を描いている丹地陽子さんの公式サイトを見ると、見たことのある表紙たくさん並んでいるけれど、どちらかというとふわっとした輪郭の少ない絵が多いように思う。私は、青と黄が印象的で、輪郭線のはっきりしたアニメ塗りのこの絵がす…
錺職の椋屋四代目春仙は後継者を定めず三十四才の若さで世を去った。遺言により、幼少の頃から密かに細工を教わっていた三代目の娘お凜が、五代目春仙を決める役目を任される。お凜は、禁制の奢侈品をつくった廉で手鎖の刑を受けていた渡り職人の時蔵を、五…