新・幻想と怪奇

新・幻想と怪奇 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1824)
 編者が目玉と目した「マーサの食卓」が、やはり群を抜いて光っています。マーサが「料理上手」というところでピンとはきましたが、読者の想像より筆致を抑え気味にすることによって、奇妙なリアリティが出ているところに、作者の意地の悪さが見えます。キドニーだけってのがかえって怖いですね。
 あとは、「万能人形」。これも、「怪物」とされる赤ん坊や人形よりも、自分のことしか考えられないヒステリックな親たちのほうがよっぽど恐いという、逆説的な印象が面白かったです。