ひそやかに影はささやく

ひそやかに影はささやく (New Montgomery books (28))
閉ざされた扉 ばらの少女 ダヴァンポートの話 汽車であった男 カメラの証言 沈黙の彼方から スモーキー島のハウス・パーティー エステラの受難 月影の狂想曲
 あの「赤毛のアン」の作者が怪談集を書いていたことに驚きましたが、さすがに「エミリー」の作者らしく、どこか人を信じる明るさのようなものを感じさせる作品が多かったです。しかし、「閉ざされた扉」や「ばらの少女」で、少女たちが遭遇する死者たちからは、濃厚な異世界の雰囲気がただよっていました。生じゃである少女たちが光を放つほど、死の世界の影が色濃く感じられます。ホラーアンソロジストは、モンゴメリを再評価すべき。
 怪談ではありませんが「汽車であった男」は、ほろ苦い結末と主人公のおばあさんの温かさが心に残る作品。「沈黙の彼方から」は、時間と場所を越えて相手に届いた女同士の友情が印象的なお話でした。