手招くフリーク 文化と表現の障害学

手招くフリーク―文化と表現の障害学
文化と表現の障害学にむけて 倉本智明
「真実の感動物語」を読み解く 土屋葉
アルビノ萌えの「後ろめたさ」からの逃走 矢吹康夫
「異形」から「美」へ 西倉実季
児童文学にみる障害者観 三島亜紀子
「改造人間」、その変容とその「幸福」について 中根成寿
ラッパーたちのフリーク・ショー 後藤吉彦
自己表現の障害学 荒井裕樹
手話音楽のこれまでとこれから 加藤晃生
萎えツボの地雷原から隣へ逃れて ニキリンコ
岩と違和をめぐるモノローグ 倉本智明

 「フリーク」に惹かれる「後ろめたさ」をどうしようか、という課題がずっとあって、自分自身にはその課題を考え抜く思考力の強さはないので、こういう本で、各人がそれぞれの立場で真摯に対象と向き合っているのを見ると、敬意を覚えます。
 論考集、というほど堅苦しくなくて、著者自身のバックボーンをもとにした想いが率直に描かれているエッセイ的な部分も多くて、それがかえって読みやすさと共感しやすさにつながっていました。