哲学個人授業

哲学個人授業-<殺し文句>から入る哲学入門 (木星叢書)
 気が短いので哲学書は全く読まないのですが、哲学には興味があります。なのでたまにこういう本を読むのですが、わたしは本当に哲学的思考ができないとそのたびに思い知ります…。
 著名な哲学者の著作から、対談する二人が気に入ったところを抜粋してその哲学者のエッセンスを論じる対談集です。引用箇所はたったの2ページなのに、理解できる箇所がほっとんどないってどういうことでしょう。言葉の意味がさっぱりわかんねえよ!日本語なのに! 鷲田氏も言ってますが、原語が理解できたら原語で読んだほうが理解しやすいのかもしれません。日本語は抽象的概念を語るにはほんと、向かない言語だと思います。叙情や具体的事象を表現する言葉は豊かなのにね。
引用部分がさっぱりでも、対談を読むと、どういうことを言いたいのかちゃんと分かるので、楽しく読めました。難しい思想を男女関係に置きかえてわかりやすく解説してしまうのですが、男女関係も私には分からないものなので、たまにかえって分からなくなったりするのはまあ、いいとして。あんな意味不明の文章から、よくそんなことが読み取れるなあ、と感心していたら、哲学を研究する人も、一冊の哲学書を何年もかけて一行ずつ読むんだそうです。本は2,3時間で読むものと思っている私には、とてもできない根気のいる作業です。一番感心したのが、ヘーゲルの思想で、「そのものを所有しているということのうちには、それが自分のものでなくなる可能性が最初から含まれている」というもの。失われる可能性を持ってはじめて人間は主体性を持ちうるという考え方はとても素敵です。

私はその所有を所有として自分の外に手放さざるをえない