秋の牢獄

秋の牢獄
「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」
 「幻は〜」の最後の一行を読んだら、暗そうだったので、後ろから順番に読みました。恒川光太郎は「神家没落」のような「移動する異空間」を描くと、とたんに筆が冴えますね。この異空間のイメージが恒川独自の世界観だからですが、仙境だった神家が、鬼の家となってしまうおぞましい結末に戦慄しました。いい…。「秋の牢獄」は、やや爽やかで軽めのタイプリープもの。中編集で3作収録だと、一作くらいはこういう軽い口当たりの物が入っていた方が作品集としてのバランスが保てていいと思います。「幻の〜」は、確かにエピローグがない方がラストの衝撃が深かったのにと思いました。