ふたりの距離の概算

ふたりの距離の概算
 <小市民>より<古典部>が好きです。小鳩くんの自意識より、ホータローの自意識の方が共感と好感が持てるから。今回も「他人に興味が持てない」と言いつつ、微に入り細を穿って大日向さんとの過去の出来事を思い出していくホータローの自意識ににやにやしっぱなしでした。本当に他者に興味がなければ、思い出せるほど過去を記憶してたりはしないもんだよ、ホータローくん。
 「他人との距離の取り方」という思春期の少年少女に切実なテーマ(実は人生全般にわたる問題だけど)でのエピソードの積み重ねと、「大日向さんはなぜ退部したか」という「謎(ミステリー)」への推理が一体となっていて、とても面白かったです。
探偵が現場に赴くことがない点では、安楽椅子探偵の一種なんでしょうね。マラソン中なので、ちっとも「安楽」じゃないけど(笑)。ロードノベル形式の青春小説ということで恩田陸夜のピクニック』を思い出しました。