小惑星探査機はやぶさの大冒険

小惑星探査機 はやぶさの大冒険
 「はやぶさ」が再突入してから大慌てで書かれたものではなくて、もともと著者が継続して行っていた取材を、再突入を機にまとめたもの。ジャーナリストの地道な積み重ねを、マスコミがブームにタイミングを合わせて発表した形で、なかなか上手いなあと思います。
 内容は、著者による解説の間に、関係者へのインタビューが挟み込まれていて、「中学生にも分かるように」という編集の目的を見事にはたす分かりやすさ。本書でようやく、「地球スウィングバイ」の仕組みが私程度の知識と頭脳じゃまったく理解できない、ということが納得できました。
 キセノンガスを「念のため」に必要以上に積めるだけ積んだら、実際に姿勢制御で役に立っちゃったり、そのために余分に使っても十二分に残量があって、それがあのキレイな光芒につながったりしたというエピソードが面白かったです。