怪談熱

怪談熱
「怪談熱」「ブラックアウト」「花冷えの儀式」「ドラキュラの家」「夏の蟲」「再会」「猿島」「最後の礼拝」「憑霊」
 みごとに後味の悪い話ばかりでしたが、食傷せずに読み切りました。一番イヤな「猿島」が書き下ろしと言うところに、著者の底意地の悪さを感じます。私は、基本的にホラー短編集にも、1話くらいほっとする「いい話」が入っているのがバランスが良くていいと思っていますが、この著者にはそんなものは不要ですね。読んでいて気が滅入ってくるようなダークな話を徹底して、突き抜けたところに腹の底からわき上がってくる嗤いが、この著者の味わいだと思います。