著作権という魔物

著作権という魔物 (アスキー新書 65)
 主に映像関係の著作権に関わる様々な人にインタビューしています。全体的に、テレビ関係者などの著作権者は皆さん歯切れが悪いように見えてしまいますね。確かにテレビはつまんなくなりましたが、それでもあとで見返したくなる映像はまだあります。だから、映像データベース化と利用方法の整備は進めれば、利益を生むと思うのに、いっかな進まないのは、本当になぜなんでしょう。
私自身はどちらかというと、権利者が報われるようにと思うので、著作権に関しては厳しい見方をする方なのですが、まねきTVや録画ネットの人々の言うことの方が、すとんと落ちてしまうのはなぜなのか…。
面白かったのが、コロロジスト岡本薫の著作権の説明。著作権者の心を傷つけないための人格権と、お金を損させないための財産権、現在主に話題になっているのは財産権ですが、私の仕事から言うと、人格権にもとても興味があります。創作物を解放して、もっと自由に皆が使えるようになったときに、「自由を使いこなせますか?」というやや意地悪げな問いが印象に残りました。
誰もが著作物の利用者であり、権利者でもあるという未曾有の一億総著作権者時代に、これから創作物はどこに向かっていくのかというとまどいと混迷が伝わってきます。著作権の70年延長問題や被親告罪化など、「権利のインフレ」状態になっていった先に、人々が心から楽しめる創作物は生まれるのでしょうか。