139ジャータカ物語

ジャータカ物語―インドの古いおはなし (岩波少年文庫)
 お釈迦様の前世であるボーディサッタ(菩薩)の物語を集めた昔話集、ということでいいのかな。お釈迦様は、人間としてお釈迦様に生まれる前に、輪廻転生の中で色々な生き物に生まれて様々な功徳を施しながら修行をしていた、という設定(設定っていうのもなんだかなあ…)です。お釈迦様は、サルになったり、ウになったり、バラモンになったり、大工になったりと大忙しです。物語のほとんどが「ブラフマダッタ王がベレナスの都の国をおさめていたころ」なので、時系列はどうなってるんだ!なんて言ってはいけないんでしょう、たぶん。
 日本でも有名な「ウサギの施し」も入っていますが、結末が違っていたのが不思議でした。何もないので、自分を食べてくださいといったウサギは、炎で焼かれず、ちゃんと生き返るんですよね。そして、神様は、ウサギの気持ちをたたえて、山を押し潰した絞り汁(…)で、月の表面にウサギの似姿を書いた、という話になっています。これが一番の大元の話なのか、それとも私たちがよく知っている死んだバージョンが元なのか、そういう研究というのはあるんでしょうかね。