当世白波気質1東京アプレゲール

当世白浪気質 1 東京アプレゲール (ボニータコミックスα)
 美術品ばかりを狙う白波家業の吉田虎之助は、旧家の財宝を狙って入り込んだ山深い里で、神(オオカミ)の花嫁として生贄に捧げられるはずだった真神千越(まがみちお)を盗み出す。戦後すぐの闇の濃い時代、悪党と美少女の奇妙な同居生活が始まる…。トラが千越にむける複雑な眼差しに心拍数が急上昇。神の眷属でもある千越を俗世に連れてきたものの、その高潔さを惜しむ気持ちと、普通の娘として生きて欲しいという気持ちがせめぎ合い、そこに男女の想いのすれ違いが滲んでたまらない色気がある。トラと千越はこれからどういう関係を作っていくのか。
 戦後の混乱期における、日常と闇社会とが渾然一体となった猥雑な雰囲気をうまく描き出しているところが好きだ。台詞回しも実に洒落ていてかっこいい。犬猿の仲の千越と高杉の「貴様に聞きたいことがある…」「それは私の断末魔ってことですか お嬢さん」なんて床に転がるほど興奮した。

私を連れて 行かないのなら そこで 死ね!!