当世白波気質2美少女は悪党の愉しみ

当世白浪気質 2 美少女は悪党の愉しみ (ボニータコミックスα)
 最初は新刊でこちらを見つけて読み始めたが、途中まで読んでどうしても1から読みたくなったので、本屋を5軒ハシゴした。ボニータコミックスα見つけにくいよ! 表紙買いはあまりしなくて、しかもそれが当たるなんてことはめったにないだけに、当たるととても嬉しい。これは『蟲師』以来の嬉しさだった。
 千越は誰かに似ていると思ったら、「人魚の森」の真魚だった。超然とした美しさとか、世間知らずでお嬢様然としたところが。閉鎖された村から連れ出されるというシチュエーションも似てる。千越は、トラの元で暮らす中で、少女から女へ、神から人間へと揺らぎながら、時々超然としたすごみを見せる場面が本当に美しい。そのすべてを内包して、千越なんだよなあ。トラが惑うのも分かるぜ。あと、トラと千越の関係も何かを思い出させるなあ、とこちらはだいぶ考えて思い出したのが「百鬼夜行抄」の律と司だった。男と女だが恋人ではなく、男と女であるのに強い絆で結ばれている。律と司は血の絆があるけれど、トラと千越にはそれもなく、全くの他人の間に生まれた恋愛でも家族愛でも、もしかすると「愛」といわれる感情ですらない「何か」。私はこういうテーマがものすごく好きだ。
2巻で二人の歩み方は決まってしまったようだけど、変わっていくのが人間でもあるし、連載中という続きが楽しみなような怖いような。

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