BIOMBO/屏風 日本の美 大阪市立美術館

 日本画家の作品展には必ず出品される屏風ですが、屏風「だけ」に焦点を当てた展示は珍しいように思います。成立期の屏風、日本文化における儀礼用の屏風、そして巨大な画面をコンパクトに折りたためるという利点を生かした海外貿易の輸出品としての屏風をひとつの流れとしてみられたのは、展覧会という形式ならではだと思います。洛中洛外図屏風など、わたしは、ひとつの画面にたくさんの人々が細かく描かれた絵が好きなので、屏風に入り込む勢いで、まじまじと見入っていました。入り込むといえば、「雨柳堂」で橋姫が女性を誘った屏風に似たものがあって、にやにや。
 めった見られないと思ったのは、出産の場で使用された白絵屏風。白地に胡粉と雲母で吉祥を描いてあるのですが、地の部分が茶色く変色しているので、描かれた絵が白く浮き上がっていて…なんというか、あえていうなら不吉、です。出産の場で使われたはずの屏風が、つよい「死」のイメージをまとわりつかせていることに、厳粛な衝撃を感じました。怖かった。