097あしながおじさん

あしながおじさん (岩波少年文庫)

あしながおじさん (岩波少年文庫)

 元気のよい、笑顔の素敵(だろう)な女の子の生き生きとした語り口についのまれてしまいました。これは、訳文によって読書感がずいぶん左右されるはず。
 ただこれを私が子どもの頃に読めたかどうかは謎だなあ。だって、これ、難しいでしょう? 少なくとも3回は読まないと分からない。1回目はジュディの気持ちで「あしながおじさん」の正体を推測しながら読み、2回目は客観的に「あしながおじさん」の伏線を拾いながら読み、3回目は「あしながおじさん」の気持ちで読む。最初のジュディ視点で読んだだけでは、「あしながおじさん」って支離滅裂でよく分からない人だと思うんです。だってこのネーミングってミスリーディングもいいとこですもん。「Daddy Long Legs」(勝田文)を読んでてよかった。今は勝田さんの解釈に引きずられているところがあるので、時間をおいて読み返したら、また違った印象を受けるかもしれません。
 「あしながおじさん」を読んで「Daddy Long Legs」を読み返したら、各所に仕掛けがいっぱいしてあって、以前よりさらに楽しめました。