プラド美術館展 大阪市立美術館

 朝一で出るつもりが寝過ごしてしまい、別の用事を先にすませてから行くことに。会場に着いたのが3時半頃。平日であまり大々的に取り上げられていない展覧会なら、この時間もいいと思いました。閉館間際の4時半なら、ほとんど人がいなくて好きな絵の前を独り占めできます。

 西洋絵画の中でもスペイン絵画は、宗教画だろうが静物画だろうが、てらてらとした異様な迫力がありました。ねっとりとからみつくような質感は、湿度も温度も高い気候によるものでしょうか。
 十字架をおりたキリストに抱擁される聖人の絵がありました。その聖人の顔、まさに「恍惚」とはこのような表情かと思います。しかもそれは、若い女でも夢見るような美少年でもなく、敬虔さと分別を備えているであろう高貴な顔立ちの老僧なんです。こんな色っぽい顔していいものなんでしょうか。

 「ボデコン」と呼ばれる静物画もすごかった。描かれた野菜や花は、まるで今にもごろりと画面から落ちてきそうです。手を伸ばせば、みずみずしい葡萄の粒が手に取れるかと思えるほどです。本物よりも本物らしく書き込まれた結果、普通の静物画にはあり得ない幻想性すら漂わせていました。