鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

 噂に違わぬ変な話でした。ホルモー万歳。
 しかし、ホルモーという余人には思いつけない奇抜な発想をのぞけば、話自体はよくあるライトノベル的男子願望充足型の展開だとも思いました。だって、無愛想な眼鏡っ子が、眼鏡とったら可愛いんですよ!? 抜群に頭のいいその子が、いつもはつんけんしているけど実は主人公に一目惚れしてて、彼のためにその素晴らしい頭脳を駆使してくれるんですよ!? ライバルの筋肉バカとさほど変わりばえのしない、やたらと鈍い主人公に、いったいどうして彼女が惚れたのか、謎であります。
 しかし「青龍の諸葛孔明」の活躍には胸躍りました。雨の中の凛々しい宣言にもしびれました。あんた彼氏よりずっと「漢」前だ! まさか自分がツンデレ眼鏡っ子に萌える日がこようとは。

 非モテ非モテのまま終わる「太陽の塔」とは、双璧をなす妙な京大青春小説でした。
 欲を言えばもう少し「ホルモー」の歴史や仕組みを掘り下げてほしかったです。