天使突抜367

天使突抜367
マリンバ奏者で着物コレクターとしても有名な著者が、コレクションを収納するために京都の長屋を倉庫に改築する過程を追ったエッセイ。
「なんということでしょう」という加藤みどりの声が聞こえてきそう。ひとりの「匠」だけではなくて、関わった人ひとりひとりの名前や経歴、仕事ぶりを丁寧に紹介しています。人だけでなく、建材であるねじの歴史や、著者が差し入れした現場メシ(うまそう!)が紹介されていて、コンパクトながら盛りだくさんの内容です。
にしても、コレクション約六百点、それを収納する箪笥十二棹ってすごいなあ。内装がとりあえず完成して、コレクションを移すときの、分類して収納していく作業に胸が踊りました。これって、蔵書を整理する楽しさと同じですよね! 収納力が当初の目論見より一割増しいけそう、というくだりでは、まあ羨ましいと思ったものの、処分したのは六百点中たったの三十点、移してみたら隙間なく収まってしまったって、通崎さん、安心している場合ではないのでは…。と人事ながら心配に。だって、今後もコレクションは増えていくわけでしょう?(笑)