動物農場

動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)
 最近、ふたりの人物(彼らはお互いに面識がない)から、それぞれに「ジョージ・オーウェルの『動物農場』を読んで、あまりに今の日本社会に似ていてぞっとした」、「『1984年』の世界が、人ごとじゃなくなったって最近ひしひしと感じる」と聞かされたので、読みやすそうな方の本作を読んでみることにしました。
 本編もさることながら、私には「付録1 出版の自由」の方が、現代日本社会を表しているように思えます。世論に迎合した知識人が、自主的に検閲に参加してる、か…。ジョージ・オーウェルの文章は、居心地の悪い現実に対する真摯で誠実な異議申し立てで、読後背筋が伸びる思いがしました。
 もっとイデオロギーガチガチの内容かと覚悟していたのですが、訳文の語り口の柔らかさもあって、怖い状況が描かれているにもかかわらずユーモアが感じられて、実際はとても「面白かった!」のでした。