夏休み文楽特別公演「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)住吉鳥居前の段・内本町道具屋の段・釣船三婦内の段・長町裏の段・田島町団七内の段」「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)寺入りの段・寺子屋の段」「日本振袖始(にほんふりそではじめ)大蛇退治の段」国立文楽劇場

 夏バテのせいか、集中力がなくて全体的にうつらうつらとしていました。
夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ) 中央14列35番
 今回ようやく、住大夫さんの声が若手中堅の大夫さんたちと違うということがはっきりとわかりました。ボーっとしていたのが、釣舟の段の切で、はっと目が覚めました。
 筋は歌舞伎とほとんど変わりませんが、団七の舅殺しの後日談があるのが最大の違いです。文楽は、団七は無事に逃げおおせて、悪い舅が殺されたのは、仕方がない的な雰囲気なので、全体的に明るいです。終わりかたとしては、悲劇の予感を残して終わる歌舞伎の方が、個人的に好きです。
 変わらないのは、磯之丞の情けなさ。浮気をとがめられて「据膳と鰒汁を食わぬは男の内ではない」などとほんとにいう男を初めてみましたよ(演劇だけど)。
 全編、大阪らしい、おおらかな下ネタ満載で、なかなか大人なお話でした。
菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)/日本振袖始(にほんふりそではじめ) 中央13列18番
 子どもが死ぬのは本当に嫌な話で、私はあんまり好きじゃありません。
 「日本振袖始」で口直しできました。化け物退治は楽しいなあ。演出のためとはいえ、スサノオノミコトはもっと早く来るべきだと思う。やっぱり長く演じられていなかったというには、それなりの理由があるんだなーと思いました。あっちこっち、作り込みがやっぱり甘いような気がするんですよね。「こういう風にしたらもっと面白くなるのに!」と演出家気取りで突っ込むのも楽しかったです。