借りぐらしのアリエッティ

 きれいにまとまっていました。美術は文句なくきれいですし、登場人物も個性的、小人たちの借りぐらしの様子も細やかに描かれています。及第点。と、いう感じで、よかったんですが、物足りない、というのが全体の感想です。以下畳みます。
 翔が「人間は60億だ」というくだり、彼の絶望を思わせていいシーンなんですが、それまでに彼がそういうことを言いそうな人物である、という描写がないせいで唐突なんですよね。気弱な、優しそうだった男の子が、急に何言い出すの? と戸惑ってしまう。ハルさんが躍起になって小人を捕まえようとする動機も、最後までよくわからないままでした。
 ストーリーの大枠には名作と謳われる原作があり、アニメの技法的には今までの積み重ねがある。しかしそれを取り込み、練り上げてお客に魅せるところまではいかなかった、と感じました。