魚舟・獣舟

魚舟・獣舟 (光文社文庫)
魚舟・獣舟 くさびらの道 饗応 真朱の街 ブルーグラス 小鳥の墓
 どの作品も、壮大なSF設定のほんの一部という感じで、すごく贅沢なものを読んだ気がする。あとがきによれば、表題作は、同設定で別の作品が書かれる予定だというし、「小鳥の墓」はすでに発表された長編の前日譚だという。私は、それらとは別に、「真朱の街」の設定でもっと読みたくなった。近未来、サイボーグ技術により異形化した人類に刺激されて、この世におおっぴらに出現し始めた妖怪たちを封じ込めた「真朱街」は、実に魅力的な舞台だ。菊池秀行の「魔界都市新宿」シリーズみたいに、シリーズ化しないかな。