宵山万華鏡

宵山万華鏡
 題名に恥じず、くる、くる、と回す度に見える景色が少しずつ色を変えていく、万華鏡のような6編からなる連作短編集でした。ラストは総括、という感じでストンと落ちましたが、好みからいうともう少し派手に盛り上がってもよかったと思います。
 短編として一番完成度の高いのが「宵山姉妹」、一番盛り上がったのが「宵山金魚」でした。この2編を中心として、他の短編により別の角度から世界を照射してみると、虚実の入り交じった万華鏡のように見えるという著者の企みはかなり成功していると思いました。
 もう少し時間をおいたら、こんどは一気に読んでみようと思います。