宗像教授異考録10

宗像教授異考録 10 (ビッグコミックススペシャル)
 巨人や巨木、大蛇など大きなものの伝説を扱うことが多いこのシリーズの中で、「ちいさきものの手」はタイトルだけで「おっ」と思いましたが、読了して一番胸を打たれたのもこのお話でした。父親の心を未だ知らない息子、かつて妻子を失った男、たったいま子を失った夫婦、そして一生わが子を抱くことのないかもしれない女と、さまざまな「親と子」を、ちいさな手形の装身具の発掘に添わせて展開させるという構成がまず素晴らしい。遺跡から伺える古代の人の心と、現代人の心を重ね合わせて、変わらぬ人の想いを浮かび上がらせるというエモーショナルな手法は、おなじみとなりましたがとてもいいと思います。