トレマリスの歌術師2水のない海

トレマリスの歌術師〈2〉水のない海
 サミスとの戦いの後、カルウィンたちは、海賊たちにとらわれた風使いの少女たちをたすけ、ミカの故郷ラヴァミー島に歌術師の学寮を作ろうと計画していた。ある時、海賊から助け出したヘーベンという青年から、メリツロスでは歌術の才を持つ子供は宮殿に連れ去られていくという話を聞き、救出に向かう。
 今回は残念ながら発明少年トラウトの出番はほとんどなし。たまにカルウィンたちが思い出してくれるから、仲間なんだなーと思ってうれしかったけど…。親友を手にかけた心の傷が癒えずに、一人で放浪しているダロウの過去の回想と、ダロウの不在を不安に感じているカルウィンたちの旅の様子が交互に語られます。ダロウとカルウィンがお互いに想いあっているのに、実際に会うと、うまくいかないじれったさはあいかわらずで、しかし、そこがいいと思います。この二人は、こういうめぐり合わせなんだな。カルウィンがハラサーを意識したり、ダロウがイーベンに焼きもちを妬いたりして本当にこの二人は! と何度思ったか。
今回も世界の描写がとても鮮やかで、異世界を旅する醍醐味を充分に味わえました。