鼻煙壺1000展 大阪市立東洋当時美術館

 中国のかぎ煙草入れのコレクション展。
 タバコの葉を乾燥させて粉末にしたものを鼻から吸って香りと刺激を楽しむのがかぎ煙草で、よく海外もののミステリなんかに登場しますね。私などは、話を聞いただけでくしゃみが出そうになりますが。
 湿潤な中国の気候に合わせて、粉末を壺状の容器に入れて保存、携帯したのが鼻煙壺です。掌にのるほど小さな容器は、工芸品としてありとあらゆる材質、技法を持って作られたひとつの小宇宙でした。かぎ煙草は、日本では普及していませんが、鼻煙壺は、小さい物好きの日本人の好みにもぴったりです。形に制限があり、細部に趣向を凝らせるという点で根付けや印籠に通じるものがあると思います。
 磁器製、ガラス製、金属製、骨・木・石などの自然物で作ったものそれぞれに美しさがありましたが、制作の困難さで言えば、石が最も難しく、かつ希少性が高いと思います。貴石でなくても、石の文様の美しさを生かした造形に魅入られました。
 展示品そのものも魅力的ながら、それらを材質別、色別に分けてひとまとまりとしての美しさを演出している展示の仕方もよかったです。