KAZARI日本美の情熱展 京都文化博物館

 日本の美術を「かざる」という視点でとらえ直す展覧会。そんなこと言ったら「美術」は「かざる」という行為そのものじゃないか、と思わなくもないですが、ただ「かざる」のではなく「飾り立てる」という一種の過剰にスポットを当てています。縄文時代の火炎土器から始まって、戦国武将の飾り兜、祭礼や歌舞伎などハレの場での衣装など、「どーかしてるよ!」と思わずつっこみたくなるようなドハデで奇抜なデザインは、見ていてなんとなく元気が出ます。
 こういう「切り口」を定めて、出展品を選定し、所蔵先を交渉し、配列を考え…って、想像するだに大変そうですが、学芸員さんの腕の見せ所でもありますよね。
 江戸時代の筥迫や、簪、印籠、櫛などの小物に見られる細やかで艶やかなデザインはいくつ見ても楽しいです。漁網や五徳などの卑近な生活用具を、服の柄に仕立てるセンスにも惚れ惚れ。
 こないだ行った「蛙とび行事」以降、日本の着ぐるみの伝統について気になっているのですが、「ちょうちょう踊り図屏風」(江戸時代)には、大根やトカゲ、かたつむり、石灯籠(!)の着ぐるみを着た人たちが踊り狂っていて、おおっと思いました。するとやはりあのカエルの着ぐるみもかなり前からあったと考えていいみたいです。