ルーヴル美術館展フランス宮廷の美 神戸市立博物館

 今回の展示物は、かぎ煙草入れや食器、家具、時計など王侯貴族の日用品。こういうのを見るたびに、使ったのかな、これ…と思います。使うにしても、手入れは使用人がして、本人も扱い方を仕込まれてないと、とても普段遣いはできない。よくキャプションにも「実用品というより贈答品として…」などと書いてあるからには、見せびらかすだけだったのかしら。
 どちらにしろ、「使う」ものに宿る機能美と装飾が融合した形には、いろいろと想像をかき立てるものがあって好きです。圧巻は、マリー・アントワネット愛用の旅行鞄。もちろん、本人が持ち歩くのではなく、従卒が(たぶん二人がかりくらいで)持ち運ぶような巨大なモノ。この中に、ティーセットや化粧道具が一式おさまっています。小さいものだけでなく、洗面器やベッドメイキングの道具まで入っていて、女王様の日常を快適に過ごすことにかける執念を感じたり。ベッドメイキングの道具は、「レディー・ヴィクトリアン」で、ベルがコンスタンシア令嬢宅にお泊まりしたときに、メイドさんがベッドを暖めていたフライパンみたいなやつです。今回一番のワクワクでした(笑)。