ぶたぶたと秘密のアップルパイ

ぶたぶたと秘密のアップルパイ (光文社文庫)
 いつものぶたぶたワールドで、さくっとした薄いパイ生地を割ると、中からとろとろのカスタードクリームと歯ごたえの残っているりんごがあふれてくるというアップルパイもおいしそうだった。でも、ちょっとだけひっかかることが。椛さんの見ていた「それ」がなんだったのか、結局分からないままだったことだ。心因性の病気なのか、機能的なものなのか、それとも超常現象的なことだったのか。婚約者と別れたり、両親がそこに介入してきたり、通院したりという現実が見える一方で、椛さんの抱える不都合の内容が全くはっきりしないのは、もどかしい感じがする。もちろん、下手に現実の病名を出してくるのは不謹慎だということで控える配慮をしたのだとは思うのだけど、小説のオチとしては、すっきりしないやり方だなあ、と思うのだ。

ガチャピンみたいな奴だ。中に人がいるのかな。