ザ・万歩計

ザ・万歩計
 三浦しをんのエッセイを読んでいても思うのだけど、この人も私と同世代なんだなあ、と思うとなんだかくすぐったい感じがする。10代20代の頃は、エッセイなんて書いているのは、自分より年上の人ばかりで、歴史とまでは言わないけれど、自分にとっては過去のことが語られているのを、昔話でも聞くような感覚で読んでいた。ところが、万城目氏のエッセイには、チャゲ&アスカとか、TRFとか、スピッツとか、テレビ番組は「ダウンタウンのごっつええかんじ」とか「ドラゴンボール」とかが普通に出てくる。現在の若い人の間ではやっているものでもなく、私自身がが10代20代だった頃にはやっていた、まさに同世代のサブカルチャーが文章になっているのを見るのは、とても変な感じだ。
 だいたい3部構成に分かれていて、1部は、今言ったような歌は世につれ世は歌につれという著者の過去を振り返ったもの、2部は会社員だった頃の話、3部目があちこち旅行したときのことが書かれている。会社員だった頃は簿記をしていて、いろいろな工場に勤めたとか、意外なことに旅行好きで(すみません、引きこもりがちな人だと思ってました)、モンゴルで遊牧民生活したりとか、バラエティに富んだ内容で面白かった。特に、トルコのハマム(水風呂)で、垢すりのおじさんにセクハラ(著者は明言してないけど、アレはセクシャル・ハラスメントです)されたエピソードは、呼吸困難に陥るほど笑った。

それを命のかぎり続け合う、という魂のやりとりを綴った歌だ