さいでっか見聞録

さいでっか見聞録
 「妖怪に会う方法」の演題につられていった講演会が、会場大爆笑のおもしろ話だったので、ご本人に興味を持ってエッセイ集を読んでみました。
 期待にそぐわぬおもしろさで、げらげら笑いながら読んでしまいました。自信の子ども時代や、自分の息子たちの、子どもならではの天然ボケに、大人の著者がツッコミを入れるタイミングが、絶妙でした。ぽわんとして飄々とした装幀と挿絵もとっても可愛いです。
 くだんの講演会で、小学校4年生くらいの男の子が、質疑応答の時間に、勢い込んで「妖怪にはどこに行ったら会えますかっ!」と質問していたのが、めちゃくちゃ微笑ましかったです。大人向けの講演会を1時間半我慢してまで、どうしても聞きたかったんだね。いつの時代の、どんな子にも、「不思議」を宿す心の隙間が必ずある、という著者の、この世界への希望が、はからずも証明された形でした。

―結局私は、タイツをはいてスカートをはかないという究極の選択肢を選んだ。もちろん、そんなのは大まちがいである。