天才探偵sen 公園七不思議

天才探偵Sen 公園七不思議 (ポプラポケット文庫)
 少年探偵団というのはよくあるけれど、子ども自身が名探偵というのはその中で何割くらいなんだろう。けっこう、身近な大人が名探偵で、というのが多いような気がします。本作は、小学校6年生の少年、千が探偵役です。小学校始まって以来の天才と呼ばれる頭の良さを生かして、町内にある七つの公園で噂される七不思議の謎に迫ります。千くんは天才ですが、なにしろ小学6年生なので、経験値が絶対的に足りません。人生経験はもちろん、知識量にも限界があり、それが、うまいこと謎解きに緊張感を持たせています。伏線もきっちりと張ってあり、ひとつ下の女の子のために6年生ががんばる姿も可愛らしい。キャラクターの立て方が少し弱いところはあいかわらずですが、大崎梢さんは、やはり力量のある作家さんだなと思いました。ターゲットの読書能力にあわせた文章をきちんと書きあげられるというのは、職人技だと思います。