海辺の博覧会

海辺の博覧会

海辺の博覧会

「海辺の博覧会」「ヘビ祭り」「青いことり」「子ども競馬」「選挙犬」「ごきげんよう」「あれーじょお!」
 まずは、登場人物たちの台詞から、昨年亡くなった祖父の話し言葉が思い出されてならず、しばらく布団をかぶって懐かしさに耐えた。わるすんぼ、まっつい、じょんならん…
 海辺のわるすんぼたちのガキ大将、マサコ嬢の策士ぶり、内弁慶に発揮される怪力無双ぶりが気分爽快。 彼女とアキテル、フミノリ、トモイチ、それから「ぼく」たちの、のんきで元気な毎日がおかしくて仕方がない。いつまでも、この時代に浸っていたいと思う。
 そして、時たまこの世ならざるモノたちが、ひょっこり顔を見せる描写も素晴らしい。彼らは、「ぼく」たちに危害を加えるわけではないが、それでもその登場時には、あの世からのひんやりとした風が吹くようで、ちょっぴりぞうっとさせられるのだ。