ミス・ポター

 「ピーター・ラビット」の著者ビアトリクス・ポターの伝記映画。うさぎに思い入れはないのですが、湖水地方とか、ヴィクトリアンとかが映像で見られるのならば行かなくては!と期待して、期待通りでした。
 ストーリーは、出版社への持ち込みから、婚約者を亡くしてヒル・トップに引き込んで徐々に立ち直っていくところまでを、少女時代の回想を交えつつ、描いています。90分と素晴らしくコンパクトな映画なので、ポターの挫折などが描かれず、深みに欠けるところはありましたが、とにかくロマンティックで乙女趣味全開だったので、あまり難しいことは考えずどっぷりその世界に浸らせていただきました。良家の子女と出版人の身分違いの恋、ですようきゃー。エンディングは、この映画のために書き下ろされた歌ですよね…文字だけのエンドロールですが、歌の歌詞からそれまでのシーンを思い浮かべて、余韻に浸れるいい歌でした。
 ピーター・ラビットたちが実写の中で動くのは、効果を上げているとまでは言えないけれど、邪魔になるというほどでもなし。淡々とした映画なので、アクセントにちょうどよかったかも。
 両親からは愛されて、初出版がベストセラー、印税で自分のやりたいことをやって、常に傍らには自分を理解し、支えてくれる男性がいて…と、あまりにトントン拍子なので、かえって実際にはどうだったのか知りたくなりました。