こわい!闇玉

こわい! 闇玉 (講談社KK文庫)

こわい! 闇玉 (講談社KK文庫)

 

 「赤玉」がおもしろかったのは、令丈ヒロ子の解説によるところも大きかったかもしれない。
 昔話や都市伝説のネタをひねってあるものよりも、オリジナルのネタを考えてある方に読み応えがあった。「佐竹くんのロッカー」は、叙述の仕掛けを生かして早すぎる埋葬の怖さを盛り上げているのが上手いと思った。「閻魔の話」は、お父さんが閻魔大王で、家の地下に地獄があるという設定が上手い。オチもやや教訓的ながら救いがあってよかった。生理的嫌悪感をあおる擬音が効果的な「呪文」は、ウメヅ漫画を思わせる。小品ながら「新耳袋」に乗ってそうな「小さな手」は、ラスト一文が美しかった。