こわい!赤玉

こわい!赤玉 (講談社KK文庫)

こわい!赤玉 (講談社KK文庫)

 インターネット上で募集された小学生を読者対象とする「こわい」話から、プロ、アマを問わず選考された15作品を収録。これは、ビーケーワンで公募され、ポプラ社で出版された「てのひら怪談」と同じ方式ですね。『てのひら怪談』は少々「作ってる」っぽい感じがミエミエだったのでいまいち乗れなかったのですが、こちらはおもしろかった。小学生向けと言うことで、作りがシンプルで力強く「こわさ」がストレートに伝わってくる。かといって、甘いわけでなくて、仕掛けもよく考えられているし、文章もしっかりしている。
 感想を書きたいのだけれど、選考委員で編者の令丈ヒロ子が、これ以上ないほど的確な評を巻末に寄せているので、何を書いてもパクリになりそう。こないだ読んだジャクリーン・ウィルソン『アルファベット・ガールズ』の解説もすばらしかった。ご本人の著作『S力人情商店街』も、おもしろかったし。文章は簡潔、要点は明瞭、ユーモアもありあたたかみもある。代表作の『若おかみは小学生!』は、小学生女子に大人気だし、この人はもしかすると児童文学界の赤川次郎かもしれないな。文学マニアにはなかなか評価されないけれど、実力があって人気がある作家さんってことで。遅まきながら注目したい。