文豪怪談傑作選 百物語怪談会

百物語怪談会―文豪怪談傑作選・特別篇 (ちくま文庫)

百物語怪談会―文豪怪談傑作選・特別篇 (ちくま文庫)

 様々な分野の著名人が著述した怪談を、鏡花がまとめた(らしい)『怪談会』の復刻。夏の寝苦しい夜に一、二編ちびりちびりと読むのにぴったりだった。長谷川時雨氏談「糸繰沼」のように、ほとんど民話の趣のある話も収録されていて興味深い。明治42年出版だが、そのころは、まだ民話の世界が「生きて」いたのだろうなあ。他の語り口も、文学的な技巧を凝らしたものから、実話怪談調のものまで幅広いので、飽きない。
 編集者の東雅夫氏はよくこんな原書を見つけてくるものだ。